芥川龍之介について

芥川龍之介のおすすめ作品ランキング

投稿日:2019年11月16日 更新日:

昔々から考えるとほとんどもう芥川龍之介が書いたものは全部読んだんじゃないかなと思うので、芥川龍之介のおすすめ作品ランキングでも作ろうかなと思いました。完全に個人的な趣味ランキングですが。

新思潮派である芥川龍之介というのは教科書にもよく載る文豪ですね。そもそも芥川龍之介ってどこの誰? という人はあんまりいないと思いますが、明治に生まれ、主に大正時代に活躍した天才短編小説家です。

芥川龍之介の魅力は、その古今東西の小説のみならず大量の文化文芸に関する知識と、芥川家の雅なお家の文化で育った感性、そしてあまりに冷徹な作家的視点を駆使し、人間の嫌なところを浮き彫りにし、様々な主題を読者に突き付けるところでしょうかね。

芥川龍之介といえば、『羅生門』とか『地獄変』とか『杜子春』とか 王朝物や切支丹物や歴史物を初期は得意とし、後期には『河童』とか『歯車』とか現代物というか自分のことを書くようになったことでも知られております。

35年の生涯ながら、200近くの作品を遺しており、知られざる名作というのも大量にあります。ちなみに、もちろん、あの芥川賞はこの芥川龍之介から来ていますよ。

やはり実際ランキングを組んでみると、大体代表作とされるような有名な作品が上位に集まりましたが、実際やはり有名作品はおもしろいですね。今なお輝きを放つ芥川龍之介の作品をどうぞ読んでみてほしいです。

34位『青年と死

透明マントで美しきおなごたちを手籠めにしまくった二人の青年。一人は殺され、一人は生き残るまでの、「死」との対峙を描いた芥川龍之介のおそらく二作目。大乗仏教の祖である龍樹を主人公にした、古典をベースにした物語を書いた初めての作品。「死」を擬人化したり、戯曲化したりと意欲溢れる一作。だが、まあ、うん、上位に来るものではない。

33位『老年

禿頭のおじいさんが昔モテたときの話を忘れらないのか、猫相手に一人語っているところを垣間見てしまうという芥川龍之介の処女作。23歳で書いたんだなと思うと、すさまじくすごい。が、その翌年書かれる『羅生門』を思うと、なおすごい。まあ、天才の片りんを感じるなと思える作品ではあります。

32位『ひょっとこ

酔っぱらってひょっとこをかぶったまま死んでいった、息をするように嘘をつくおじさん平吉さんの話を描いた芥川龍之介の3作目。人間というのはいつだってひょっとこみたいなものをかぶって生きているのかもしれない。

31位『三つの宝

三つの宝を本当に持っているクッパ的な王様からピーチ姫的なお姫様を守るため、偽物の三つの宝で立ち向かう王子様のお話。非常によくできた戯曲的なお伽噺。良くは出来ているのだけれど、うーむ、ちょっと子供向けすぎるかなあ……。

30位『

白い犬が友達の黒い犬を見捨ててから真っ黒な犬になってしまって、そこから再び白くなるまでの勧善懲悪的な物語。非常によくできているお話だが、あまりに美しすぎて芥川龍之介っぽくないような気もしないでもない。

29位『桃太郎

桃太郎は驚異の才能を持った悪党で、鬼の方が割と争いを好まずのんびり島にこもって暮らしていたという昔話の裏話第一弾。何がしかの社会批判的なものを感じないでもない。

28位『猿蟹合戦

猿をこらしめたその後、蟹、臼、蜂、卵は全員警察に逮捕されていたという昔話の裏話第二弾。こちらも社会風刺がきいた一作。

27位『あばばばば

子をあやす「あばばばば」の声をそのまま題名にしてしまった、タイトルのインパクトがスゴイ一作。いつの時代も母は強し。

26位『黒衣聖母

黒い聖母マリア像にまつわる不気味なお話。重い麻疹にかかった孫を想い、祖母がその黒いマリア像に私が死ぬまでこの子を助けてとお祈りすると……。シンプルな小話ながら、日本の土着的な文化とキリスト教文化を融合させてちょっと不気味な世界観を生み出す手腕は素敵。また、芥川龍之介の晩年の宿命を感じさせないでもない作品。

25位『魔術

「魔術を教えてあげましょう。ただし、この魔術を私利私欲のために使ってはいけないよ……。」現代人が読むと、かなりオチが読めるけれども、もしかすると当時このクオリティのオチをバンバン出せた芥川龍之介はすさまじい才能だったんだろうなと思える一作。

24位『アグニの神

囚われの身となったお嬢様を、アグニの神を遣わす悪い占い師の元から救い出すお話。アグニの神が人に天罰を下す、シンプルな探偵小説のような疾走感に満ち溢れた物語。

23位『

主人公の青年画家が生命感あふれるモデルを前にしていると、どんどん生気が抜けていって、最後に殺す夢まで見てしまうという芥川龍之介の遺稿。幻の作品。めちゃくちゃ知られてない一作。めちゃくちゃ病的で、繊細さ脆さがとてもいい。

22位『戯作三昧

芸術至上主義者たる芥川龍之介の心情を江戸の戯作作家、滝沢馬琴の姿に投影した一作。褒められたりけなされたりしつつも、芸術を追い求める作家の心情に触れることできる素敵な作品。

21位『南京の基督

梅毒の売春婦が基督と出会ったことで梅毒が治ってしまうという、ウソみたいな、あれ本当にウソなんじゃないか? みたいなお話。中国に行ったことがない中、南京という舞台を描き切ってる辺りが、古典を読みまくってわがものにしてきた芥川龍之介の才気を感じる。幻に救われる人の心の作用の力を垣間見られる一作。

20位『トロツコ

トロッコを押している間に山中で迷子になってしまって、再び戻って来るまでを描いた小学校の教科書にうってつけな一作。一人迷子になったときの心細さの描写が大変素晴らしい。

19位『煙草と悪魔

煙草は何で日本で広まったのか?それは悪魔が持ち込んだから。悪魔から提示された駆け引きに、いったい人間は勝ったのか、負けたのか……。

18位『点鬼簿

あまり語らなかった、実母、実父、実姉に対する愛と悲しみが込められた回帰が淡々とつづられる、切ない作品。 芥川龍之介が死を求め始めたことを感じさせる一作。

17位『手巾

子の死を告げに来た気丈な母親。笑みを浮かべるテーブルの下では、ハンカチを引き裂かんばかりに強く握りしめていた。日本と西洋の価値観を研究する主人公の目に、その日本的美しさはいかに映るか。

16位『仙人

仙人になりたくてなりたくてたまらない男が最後仙人になってしまう、非常に短い小説。芥川龍之介らしい見事なオチがついた一作。これは、世にも奇妙な物語で使える。

15位『妙な話

夫妻の元に三度現れる赤帽にまつわる、三つの妙な話。夫妻がおかしくなったのかと見せかけて、ちょっと意外なオチがついていて、ホラー風味。最後の四行が、じわじわ怖い。

14位『枯野抄

松尾芭蕉の死に、自身の師である夏目漱石の死を前にした弟子たちの感慨を小説化した作品。弟子に囲まれた一見幸福な死の際は、実はまさしく枯野であった……。

13位『芋粥

食いたくて食いたくてたまらない御馳走、芋粥。実際腹いっぱい食うとどうなるのか。憧れを実際に手にすると人はどうなるのか、理知な芥川の視点がとらえた一つの人間の真実。

12位『歯車

不吉なレインコート、ドッペルゲンガーの影、そして、頭痛と眼前の視界に広がる歯車……。憂鬱でたまらない、芥川龍之介が死の間際に遺した、寝てる間に絞め殺してほしいと願った短編小説。

11位 『蜘蛛の糸

地獄に落とされた男が生前に行った唯一の善行は、一匹の蜘蛛を救ったこと。天国に戻るために仏様が下ろしてくれたのは、天国へと続く一本の一本の糸。男はその糸を上りゆく。しかし、男に続いて大量の魑魅魍魎共が細い細い糸を同じように登ってくる。そこで男が発した言葉とは。果たして、男は天国へとたどり着けるか。

10位 『河童

とある精神病棟に入院する患者、第二十三号が話す、河童との出会いと別れを描いた作品。その奇怪な物語に映し出されるのは、芥川自身の強烈な苦悩。

9位 『藪の中

藪の中で死体が発見された、金澤武弘という男の殺人事件を巡る、微妙に異なった様々な証言。第一発見者から、その妻、犯人と目されるような男、ついには巫女を通じて殺された本人まで登場するが、それでも真実は「藪の中」。多数の証言を集めることで、真実を見えにくくしていくという独特の表現で書かれた、王朝物最後の作品。

8位 『杜子春

仙人になりたい男”杜子春”に師匠が命じたのは、「決して声を立ててはならない」という試練。仙人が見せる様々な恐ろしい幻影の果て、耐え抜いた杜子春の前に現れたのは、田舎に残した両親たちの拷問される様だった……。

7位 『

ぶらりと伸びた巨大な鼻を持つ男。奇異な姿を気に病み、ついに男は鼻を小さくする術を試みる。苦労の末、鼻を小さくすることに成功した男に待っていたのは、普通の鼻に集まる人々の好奇の目。夏目漱石が絶賛した名作。

6位 『羅生門

死体の髪を抜いて生計を立てるとある老婆との羅生門での出会い。善とは何か、悪とは何か。人間のエゴイズムに迫った、芥川龍之介23歳の時の傑作短編小説。

5位『

今読むと非常に良かった。ウエイトレスの女の子、お君さんがデートの最中に葱を買うだけのお話。100年前の小説ながら、読者モデルの女の子とIT企業社長にでも置き換えて読んでみれば、現代でも今なおこの物語は通用する。非常に爽やかでグッとくる上に、芥川龍之介の彼女に対するまなざしは非常に暖かい。

4位 『或阿呆の一生

芥川龍之介の死後に発見された遺作。芥川龍之介の一生を書き上げた傑作。或る阿呆とはまさしく芥川龍之介自身のこと。研ぎ澄まされた筆で描かれるのは悲痛なまでの死に向かう苦しみと憧れ。

3位 『蜜柑

横須賀駅を出発した列車内で一人の田舎娘が起こした、ほんの小さな出来事。列車から落とされた鮮烈なまでの眩しい蜜柑の色が、読後も焼き付く爽やかな物語。舞台装置と書き手の心情が見事に一致した、ありとあらゆる小説の中でも非常に完成度の高い一作。

2位 『地獄変

芸術至上主義者である芥川龍之介の残酷なまでの執念が映し出された作品。絵師良秀には、どうしても描きたい絵があった。その執念は、実の娘を死に至らしめることに。その光景を目の辺りにした良秀は、絵を描くのか、それとも娘を助けるのか……。娘への愛と芸術への傾倒に揺れる絵師良秀の心情が巧みに描かれた一作。

1位 『

王朝物でもなく、芸術至上主義ものでもなく、その狭間に芥川龍之介が一作だけ遺した小さな恋愛小説。幼馴染の男性を深く愛しているにもかかわらず、様々な事情からそのことを言葉に出せない切なさを、秋という季節に込めた美しい名作。あんまり誰もこれを1位にしない気がするけれど、主人公信子さんが最後に呟いた「秋」という台詞を思う度にものすごい切なくなる。

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他にも何名かおすすめ作品ランキングをチマチマつくってますので、そちらも読んでもらえると嬉しいです。







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