芥川龍之介について

芥川龍之介のエピソードなど。

投稿日:2019年11月24日 更新日:

芥川龍之介作品を読み返してはブログに書くという作業をひたすらしているうちに芥川龍之介に多少詳しくなってきた気がするので、ちょっと知ったこと、調べたことをまとめてみようかなと思いました。

芥川龍之介のエピソードや豆知識

芥川龍之介のちょっと意外なこと、知られてないかもしれないこと、めちゃくちゃ知られてることなどなど、何となく経歴っぽく、おそらくは略歴順をイメージして列挙してみます。なんとなく、芥川の一生がわかるようなイメージにしています。芥川龍之介作品を読むとき少しでも何か理解が深まれば幸いです。

家庭事情が超複雑

実のお母さんは芥川が11歳だったかで亡くなるのですが、じゃあ実のお父さんの方はどうなったかというと、今度はフクさんの妹さんとの間で出来ちゃったんですね。これで新原家と芥川家の関係がめちゃくちゃ悪化して、ついに正式に芥川は芥川家の方に養子になりました。

ちなみに新原家は牛乳屋さんで、芥川家の方は文芸・芸術にたしなみのあるおうちだったようです。芥川龍之介としてはそちらの方が水にあったみたいで、そこで文学少年としての素地をつくっていったみたいですね。

東大卒でめちゃくちゃ賢い

芥川の出身大学は、東京帝国大学。そう、東大ですね。ちなみに英文学科です。

身長は167cm

だそうです。どうやって調べたんだろう。私より、ちょっと、小さい。ちなみに『文豪ストレイドッグ』の芥川龍之介は172cmだそうです。私より、ちょっと、大きい。

芥川龍之介は新思潮派

文学の何とか派ってありますが、あれ誰が決めてるんだよと思いますが、芥川は「新思潮派」です。なんで新思潮派かというと、東京大学入ってすぐに高校からの友人たちと同人誌を出すんですが、その同人誌が『新思潮』だったからですね。ちなみにこの一緒に同人誌を出した友人たちが、菊池寛、久米正雄とスゴイメンバーでした。

処女作は『老年』

最初に書いた小説は、『老年』という作品とされています。まともに書籍化とかはされてないので、青空文庫とか芥川龍之介全集とかで読めます。

学生時代に恋をするが親の反対に遭う

芥川は大学生になって、幼馴染の吉田弥生ちゃんという女の子に恋をします。恋をしてたというか、好意を持っていることに気づくのは、彼女に見合い話が飛び込んでから。これはいかんと慌てて求婚します。で、家族に相談するのですが、ここからが運命の恐ろしさ。吉田弥生ちゃんの吉田家は実の父親の方の新原家と仲が良い家でした。ので、吉田家なんかと付き合うなボケと言われてこの恋を断念せざるをなかったのです。結構、芥川龍之介は家族のごたごたに巻き込まれた人だったんですね。

そんなこんなで書けたデビュー作『羅生門

芥川家で蓄えた教養、そしてさすが東大英文学科、ゴーゴリやドストエフスキーなどの海外文学、『今昔物語』や『宇治拾遺物語』をベースにして、そうした失恋等々から人間のエゴイズム、ちょっとした機微を読み取る才能をいかんなく発揮し、『羅生門』やら『』やら『杜子春』やら何やら大量の古典ベースの名作を書きまくります。

師匠は夏目漱石

そんな中、夏目漱石の門下生になり、後に『鼻』を絶賛されたそうです。『鼻』を絶賛されるまで絶対嫌われてたと思っていたみたいですね。ネガティブ。なお、芥川は意識があったのかなかったのか、夏目漱石と同じように一瞬英語の先生になり、そして新聞社社員になったりもしています。言うても、別に記者だったわけでもなく、専属作家みたいな、作家契約だったみたいです。これも漱石と同じですね。あと、夏目漱石が亡くなったときのことをベースにした『枯野抄』という小説もあります。

データベースから物語を紡ぎ出すタイプの秀才

読めば読むほど思うのですが、この人、天才でなくて究極の秀才だったのかもしれません。その賢すぎる頭脳で閃いた人間のやらしい部分を、データベースのように整理された古典作品にモチーフにして物語化する。そういうコンピューター的な方向性での才能があったような気がします。

ただ、『地獄変』だけはそういうところから更に、物語的な完成度から文学的価値まで昇華させた作品のように思いますが。芥川自身が見通せなかった何かとんでもない何者かというところまで届いたような、そんな感じの印象です。

結婚して、子供は3人

大阪毎日新聞社に入ってから塚本文さんと結婚し、3人の子宝に恵まれます。比呂志と多加志と也寸志、皆男の子ですね。長男の比呂志さんは俳優、三男の也寸志さんは作曲家です。一番芥川龍之介に似てたと言われる多加志さんは、戦時中に戦死されています。

秀しげ子との不倫

幸せになったはずの芥川ですが、歌人の秀しげ子さんと不倫関係にあったそうです。『或阿呆の一生』とか『歯車』とかに「狂人の娘」みたいなフレーズで何か嫌な女のことが描かれているのですが、それは秀しげ子さんだそうです。不倫してたくせに何なのよ、という感じですが、自分の弟子とも関係を持っていたことを知り、もう嫌になっちゃったと。

ところがその後秀しげ子さんが妊娠してしまい、お前の子どもだ責任取れと追い詰められ、この辺りから芥川龍之介が病的な方向に傾いていきます。

ともかく恋多き男で、結構イケメンだったようですね。現存してる人物写真もカッコいいもんね。

義理の兄の鉄道自殺

次姉の旦那さんであった義理のお兄さんが放火及び保険金詐欺の嫌疑をかけられ、その果てに鉄道自殺してしまいます。それによりその借金やら家族やらの面倒も見ることになります。芥川龍之介は当時も人気作家ではありましたが、家族何人養わなあかんねん、という状態に陥り、生活苦にも苦しめられるようになります。

後期に作風が変わる

芥川龍之介の作風というのはデビュー時と晩年ですさまじく変わってくるのですが、何でしょうか、いろいろ苦労しているうちに物語の方にだけむいていたすさまじい理性が自分の方に向き始めたのでしょうね。自分の深層心理をずばずば切っていくうちに、心情が耐え切れなくなっていた、何かそういう感じを受けます。『歯車』とかに顕著ですね。

イケメンゆえか、女で作風が変わる

芥川龍之介には結構真面目なイメージもあるかと思いますが、割とイケメンだったのか、女性には割とモテたし、女好きだったみたいですね。売笑婦とどうのこうのみたいな記述も結構出てきますし。女性に影響を受ける人みたいで、吉田弥生さんとの恋に破れたことで『羅生門』を書けるようになり、塚本文さんと結婚して『地獄変』を書き、秀しげ子と出会ってからも、作風が一気に変わっています。

谷崎潤一郎と大喧嘩

『文芸的な、余りに文芸的な』という文学評論があるのですが、それを巡って谷崎潤一郎と大喧嘩しています。簡単に言うと、小説に筋はあるべきかどうなのか。話が面白くないとだめに決まってんだろ、というのが谷崎潤一郎。話じゃない、そんなことより心情が描かれてればそれでよい、というのが芥川龍之介です。なお、芥川龍之介がその中で褒めてるのが志賀直哉です。芥川自身は話が面白いタイプの作家だと思うんですけどね。結局志賀直哉のようにはなれなかったんじゃないかな。

命日は7月24日。35歳で自殺。

自殺の前には、秘書であった平松麻素子との心中未遂もしてたりしてますが、生活苦になり、精神的にも肉体的にも病気になり(『歯車』からすると閃輝暗点と考えられる)、不倫相手にも追い詰められ、と猛烈にすり減っていった彼は7月24日に睡眠薬を大量に飲んで自殺しました。大学卒業から考えると、作家としての実働期間はわずか13年なのですね。

芥川のお墓は巣鴨にある

巣鴨の慈眼寺に芥川のお墓はあります。その隣には、芥川家のお墓もあって、長男の比呂志さんもそこに眠っています。

もちろん芥川賞の元ネタ

友人であった菊池寛が芥川龍之介死後にその才能を讃え、制定しました。

太宰治は芥川龍之介が大好き

太宰は芥川龍之介にあこがれまくっており、上記の芥川賞なるものがつくられたときには死んでも自分が取りたいということで当時選考委員であった川端康成に頼み込みまくって断られるというエピソードがあります。第一回の候補作に、太宰治の『逆光』がノミネートされております。しかし、第一回の受賞作は石川達三の『蒼氓』でした。

また、芥川龍之介と何回も名前を書いたノートも遺されています。好きな子の名前書く、みたいな感じですね。これは恥ずかしい。







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