純文学

『蟹工船』の作者、あらすじ、感想などなど。

投稿日:2018年7月30日 更新日:

『蟹工船』は1929年に発表された純文学作品です。いわゆるプロレタリア文学として最も広く知られる作品ですね。今なお読み継がれている名作で、2008年には日本国内が不況すぎたせいで、突如としてブームになりました。

2008年頃というのは派遣社員の労働環境が話題になったりした、結構不景気な時代で、現代も『蟹工船』と変わらん、みたいな論調で爆発的に売れました。まあ、蟹工船の環境というのは結構えげつないのですが。事実をベースにしている物語だそうで、そう思うとなかなか恐ろしいものがありますね。

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『蟹工船』の作者

『蟹工船』の作者は、小林多喜二さんです。小林多喜二さんは、プロレタリア文学の旗手として知られておりますね。プロレタリアというのは労働者のことで、社会主義や共産主義をテーマにした文学作品を遺されました。その代表作が『蟹工船』ですね。

ちなみに、小林多喜二という人は戦争中に拷問を受けて亡くなられています。

『蟹工船』のあらすじ

さて、案外読んだ人も多いかもしれない『蟹工船』のあらすじ、内容をネタバレ込みで結末までご紹介したいと思います。

そもそも蟹工船とは何なのかと言いますと文字通り蟹の工船でして、蟹を獲って缶詰にする工場を擁した船なのです。オホーツク海のカムチャッカ半島の方まで出て蟹を獲るのです。

炭鉱夫やら漁師やら学生やら、まあ金に困った土方たちが乗る船なのですね。数カ月に渡って監禁状態です。海の上ですから、逃げ場もありません。船長は浅川という男で、ひどくいばっています。

出港からしばらくして後、蟹工船にSOS信号が入りました。秩父丸という本船と同様のぼろい蟹工船が沈没しそうなのでした。船長はその呼びかけに応え、助けに行こうとするのですが、浅川はそれを阻止します。あれを止めたら、一週間仕事できなくなる。それにあの船には多額の保険が掛けられているから、沈んだ方がマシだ。彼はそう言うのです。人情味など持ち出している場合か、これは、国と国の戦いなのだ……。船はやがて沈みました。乗員数425名。

蟹工船は、航船ではありません。それゆえ、航海法の網の目をくぐることができます。また、工場でもありませんから、工場法の適用もありません。おんぼろの船が北の海の果て、多くの労働者を載せて好き勝手労働させられているのです。いつ自分たちも秩父丸のような目に遭うか……。

出港から四日ほどすると病気に悩まされる者が出てきました。ところがろくな薬も支給されません。

仕事ができなかった者に焼きを入れるようになります。真っ赤に燃えた鉄棒を体に押し当てられるのです。やがて、仲間の一人がついに亡くなってしまいます。

で、それを機に反乱を起こすのです。まずはサボタージュ、サボりですね、それを始めます。一日ごとに順々にサボり、労働力を下げに掛かります。そして、学生、雑夫、水夫、火夫と、一致団結をし始めます。

監督はついに焦り始めました。目に見えて仕事量が減っているのです。そして、常日頃弾を込めたピストルを持ち歩くようになります。

しかし、いくら資本家連中が怖いと言え、こちらは数百人の仲間がいる。押し合いになれば怖いものなど何もないと、ついにストライキを起こし、一挙に押しかけるのです。九名の代表者が頭となり、三百人もの人間が要求条約と誓約書を手に、船長室へと向かいます。

対面した監督はピストルをちらつかせながらこう言います。「後悔しないか」と。代表の一人が馬鹿野郎っ!とその顔を殴りつけます。監督は、ならば明日の朝にならないうちに、色よい返事をしてやる、と答えました。

そうして、夕方近くになり、日本の日の丸を掲げた船がやってきました。それは駆逐艦で、ロシアをやっつける大日本帝国の船です。ああ、ついに祖国がこのむちゃくちゃな船を救い出してくれるのだと、労働者たちは喜んでそれを迎え入れました。

しかし。乗船した軍人たちは武装してやってきたのです。そして、あっという間に労働者たちをその剣で包囲してしまいました。「不届者」「不忠者」「露助の真似する売国奴」、そう罵倒されて代表の九人は駆逐艦へと護送されてしまったのです。帝国は、国民の味方ではありませんでした。資本家の味方だったのです。自分たちの味方は、自分たちしかいないことを、労働者たちは思い知りました。

代表九人を表に出してはならなかった。全員を捉えることはできないのだから、(仕事をする人がいなくなるのだから!)全員の連名で挑むべきだった。そう反省し、また新たなストライキの時を目指すのです。もう一度。

『蟹工船』の感想

資本主義社会の恐ろしさを思い知るにうってつけの名作ですね。

この環境が劣悪なものだと思いつつ、しかしながら、今後どうなるかというのはさておき、歴史が社会主義、共産主義の難しさを証明してしまった今、我々は資本主義社会で生きていかざるを得ず、そして、今の資本主義社会における労働者層というのはストライキを起こすパワーも元気もなかなかなく、どこか諦観しているところもありますから、何やら今の方が不幸な気さえしてしまいますね。

資本家と労働という視点から脱却し、一般的な生き方として、どうにか一人一人が個人資本家になっていくしかないのかもしれませんね。自分の力で自分を食わしていかなければと思ったりもします。

同じような感想を抱いたのが、宮沢賢治の『オツベルと象』ですね。『蟹工船』と併せて読んでみると良いかもしれません。

最後に、まったく関係ない話ですが、日比谷に蟹工船というカニ料理店があるみたいですね。読まれた方は食欲湧かない気もしますが、結構素敵なランチが食べられるお店みたいですよ。







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  1. […] 本作『オツベルと象』は小林多喜二の『蟹工船』のような資本家への怒りが描かれていますね。主題はまさしく、このオツベルという資本家と、労働者たる象の関係性にあるでしょう。 […]

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