- 著者 村上春樹
- 第一部泥棒かささぎ編は1992年10月号~1993年8月号まで『新潮』にて掲載。
- 第二部予言する鳥編は1994年に発行。
- 第三部鳥刺し男編は1995年に発行。
村上春樹は『風の歌を聴け』のところでもちょっと書いたけど、デタッチメントとコミットメントを書いてきた作家であると思う。
触れたいけど触れられない。孤独だけどつながりたい。助けたい。救いたい。でもどうしようもない。みたいな。
それは、『風の歌を聴け』も『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』もそうだし、『ノルウェイの森』もそうだった。
井戸を抜ける、という行為が出てくる。この井戸抜けは村上春樹に、おいてものすごく重要な意味を持っていて、触れたいけど触れられないという態度から、触れに行く、という行為への変化に他ならない。ちなみに、井戸というのは(おそらく)心理学でいうところのイドであり、すなわち自我である。自己の精神世界の果てに、他者とつながれるというのをこの小説で書いたわけだ。
おそらく村上春樹において最も重要な小説であり、一番好きな小説なので、頭が悪いなりに一歩踏み込んでしっかり読んでみたいと思う。
本作は夫婦をテーマにした作品であるため、夫婦のことを悩んでいる人は読んでみると意外と救われるものがあるかもしれない。
第1部 泥棒かささぎ編
- 火曜日のねじまき鳥、六本の指と四つの乳房について
- 満月と日蝕、納屋の中で死んでいく馬たちについて
- 加納マルタの帽子、シャーベット・トーンとアレス・ギンズバーグと十字軍
- 高い塔と深い井戸、あるいはノモンハンを遠く離れて
- レモンドロップ中毒、飛べない鳥と涸れた井戸
- 岡田久美子はどのようにして生まれ、綿谷ノボルはどのようにして生まれたか
- 幸福なクリーニング店、そして加納クレタの登場
- 加納クレタの長い話、苦痛についての考察
- 電気の絶対的な不足と暗渠、かつらについての笠原メイの考察
- マジックタッチ、風呂桶の中の死、形見の配偶者
- 間宮中尉の登場、温かい泥の中からやってきたもの、オーデコロン
- 間宮中尉の長い話・1
- 間宮中尉の長い話・2
第2部 予言する鳥編
- できるだけ具体的なこと、文学における食欲
- この章では良いニュースはなにひとつない
- 綿谷ノボル語る、下品な島の猿の話
- 失われた恩寵、意識の娼婦
- 遠くの町の風景、永遠の半月、固定された梯子
- 遺産相続、クラゲについての考察、乖離の感覚のようなもの
- 妊娠についての回想と対話、苦痛についての実験的考察
- 欲望の根、208号室の中、壁を通り抜ける
- 井戸と星、梯子はどのようにして消滅したか
- 人間の死と進化についての笠原メイの考察、よそで作られたもの
- 痛みとしての空腹感、クミコの長い手紙、予言する鳥
- 髭を剃っているときに発見したもの、目が覚めたときに発見したこと
- 加納クレタの話の続き
- 加納クレタの新しい出発
- 正しい名前、夏の朝にサラダオイルをかけて焼かれたもの、不正確なメタファー
- 笠原メイの家に起こった唯一の悪いこと、笠原メイのぐしゃぐしゃとした熱源についての考察
- いちばん簡単なこと、洗練された形での復讐、ギターケースの中にあったもの
- クレタ島からの便り、世界の縁から落ちてしまったもの、良いニュースは小さな声で語られる
第3部 鳥刺し男編
- 笠原メイの視点
- 首吊り屋敷の謎
- 冬のねじまき鳥
- 冬眠から目覚める、もう一枚の名刺、金の無名性
- 真夜中の出来事
- 新しい靴を買う、家に戻ってきたもの
- よくよく考えればわかるところ
- ナツメグとシナモン
- 井戸の底で
- 動物園襲撃(あるいは要領の悪い虐殺)
- それでは次の問題
- このシャベルは本物のシャベルなのだろうか?
- Mの秘密の治療
- 待っていた男、振り払うことのできないもの、人は島嶼にあらず
- シナモンの不思議な手話、音楽の捧げもの
- ここが行きどまりなのかもしれない
- 世界中の疲弊と重荷、魔法のランプ
- 仮縫い部屋、後継者
- とんまな雨蛙の娘
- 地下の迷宮、シナモンの二枚の扉
- ナツメグの話
- 首吊り屋敷の謎2
- 世界中のいろんなクラゲ、変形したもの
- 羊を数える、輪の中心にあるもの
- 信号が赤に変わる、のびてくる長い手
- 損なうもの、熟れた果実
- 三角形の耳、橇の鈴音
- ねじまき鳥クロニクル#8(あるいは二度目の要領の悪い虐殺)
- シナモンのミッシング・リンク
- 家なんて信用できたものではない
- 空き家の誕生、乗り換えられた馬
- 加納マルタの尻尾、皮剥ぎボリス
- 消えたバット、帰ってきた「泥棒かささぎ」
- 他の人々に想像させる仕事
- 危険な場所、テレビの前の人々、虚ろな男
- 蛍の光、魔法のとき方、朝に目覚まし時計の鳴る世界
- ただの現実のナイフ、前もって予言されたこと
- アヒルのヒトたちの話、影と涙
- 二種類の異なったニュース、どこかに消え去ったもの
- ねじまき鳥クロニクル#17
- さよなら
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